花組公演『CASANOVA』を観ました①

 

自由に生きて強く死ぬ!!!!!!!!!!!!

 早くも2019年オタクが墓石に刻みたい言葉ランキング1位が決まってしまいました。生田先生強い。そんなこんなで花組公演『CASANOVA』を観てきました。観る前から楽しみにし過ぎてつまんなかったら死ぬ死ぬ言ってたお陰で(?)楽し過ぎたので感想も三回に分けます。今日は全体評とちなつさんの感想をざっくり駆け足でお届けします。

 

1.フレンチミュージカルの系譜を継ぐTHEエンターテイメント作品

 特筆すべきはやはりスペクタクル性の高さ。本作の音楽を担当されたドーヴ・アチア氏(ex.1789、太陽王)がカサノヴァ初日に観劇された感想を「日本語を理解できない私が、完全にのめり込んで観ていました」と仰ってましたけど、まさにそれが狙いなんでしょうね。音楽、衣装、演出装置全体で魅せる舞台。場面がどれも華やかで美しい。初見の人間にも楽しい!と思わせるエンタメ性。長時間のオリジナル作品って観客への負荷が大きいじゃないですか。登場人物や設定、全く新しい大量の情報を一気に理解しようとすると一回で楽しみきれない。勿論、そういう負荷が良い作品もたくさんあるんですけど、本作はそういうものをなるべく減らしてある。それにより宝塚の誇る美や夢を楽しみきれる。それぞれのシーンがテンポよく繋がれていけば行くほど楽しい。

2.宝塚への愛情

 先にエンタメ性の話をしましたが、決して物語性が薄いわけではありません。シェイクスピア『夏の夜の夢』をベースに置いたストーリーとなっており、端々に込められたメッセージは文学的要素を多分に含んでいます。自由とは?存在とは?宗教や社会的身分に規定される振る舞い等々、イギリス文学や演劇の王道エッセンスを感じるそれもサラッと押しつけがましくなく扱われているのが良い。
 なにより娘役さんへの愛情があるのが一番嬉しかった。プロローグの花娘もそうですがとにかくみんな可愛くって泣いた。本作で退団される脂ノリノリ仙名彩世様、最高に良い。ベアトリーチェがゆきちゃんのあてがき過ぎる。感想文③でご紹介しますがべーちゃんのダニエラもめちゃくちゃ良いです。物語の役割としても非常に重要なキャラになっていました。二人の登場シーン尊過ぎて毎回泣いてしまうくらい好き。フルバばりに乱立するカップルたちにも生田先生のはしゃぎっぷりを感じて愛しかった。
 作品に関して「子どもたちに向けて」という言葉も出ていましたが、全体的に愛や夢や希望といった善なるものを全力で肯定していく姿勢を感じました。個人的に芸術が果たす社会的役割の中でも宝塚が特に担うべき要素と思っているので嬉しかった。この人は本当に宝塚が大好きなんだなぁと思えてよかった。愛があるものは観ていて嬉しいですね。宝塚だからこそできること、宝塚だからこそやりたいことを完遂する意志を感じました。 

3.コンデュルメル夫人

はーーーーーーーい!!!優勝!!!!!!!!!!!!!!

うえええええ、綺麗かわいいかっこいい無理。最高すぎません?無理なんですけど?でも、これ子どもに見せて大丈夫……?コンデュルメル夫妻については感想文②で書くから、ここからほんとただのオタクの感想です。許して。 

①見た目
 え、うつくしすぎません????うえーん、好き。二の腕ほっそ、腰ほっそ、脚綺麗。顔がーーーーかわいいーーーーーーー!!!!!スチール見た瞬間、腰抜かした。でも、実物もっと罪深すぎてスリット全部縫い合わせたくなった。いわゆる男役の女役感が全くないですよね。でも、役として必要な分の強さがきっちりあってすごい。コンデュルメル夫人ってストーリーが進むほどダークでハードな外見に反して精神的に繊細な部分が出てくる、弱いだけでも強いだけでも表現できない役じゃないですか。蜘蛛や蛇といったパンチのあるモチーフを身につけながらも貴族としての品が香るし、素体がちなつさんであることでその絶妙なバランスが成立している。最高。天才。鳳月杏さんは神様の丁寧な手仕事

②芝居
 現れた瞬間、舞台の空気が変わる異質な存在感。ちなつさんのお芝居、本当にすごい。人間の感情は言葉だけで表現するものではないとつくづく教えられる。一秒一秒、丁寧に変わっていく表情、特に目の動き。瞬きの回数、伏し目、見開く様、目を口ほどにものを言うといいますがまさにその通り。コンデュルメル夫人は嫉妬や憎しみ、捻れた愛情といった複雑で重たい感情を担っていますが、素の感情を激しく露わにするシーンって実はそんなに多くないんですよね。でも、隠されているからこそ気持ちが深く伝わってくるし、役としての奥行きが出る。激情と共にある孤独、哀しみ、切なさが静かだからこそ伝わってきて痛い。不器用すぎて愛しい。悩ましげな表情もツンとした顔も突然捨てられた子どもみたいに幼くなってしまうのも観る度に死んでしまう。言うまでもないですが全身も良いから。夫に触れるときのするするするって手つきやばくないですか?爪の先まで夫人。清浄で綺麗な冷たい蛇みたい。艶っぽすぎて直視できないくらいなのに品がある。仕草の一つ一つまで計算し尽くされている。最高。しみじみちなつさんが演じると何でも良い役になると思わされました。
 あっ、夫人ではないのですが冒頭の男役での群衆芝居もめっちゃいいですよね。ちなつさんの群衆芝居ちょうちょうすき。物語が見える。カサノヴァの判決が決まったときの嘲りというかザマァみろという風にニッと笑うの特に好き。死ぬときあの顔見たい。振り付けも素敵で手足の長さと身体のしなやかさが活きています。ていうか、スーツだと改めて脚が長すぎてウケる。四捨五入したら全部脚やんか。このシーンだけネイルも隠してますよね?絆創膏かな?細やかなところまでプロだ。

③ナンバー
 え、うつくしすぎません????(2回目) そもそもこの楽曲自体すごく難しいと思うんです。普段男役が使う音域とは違うハイトーンがひたすら続く難易度高い曲を確実に歌いこなす実力よ。ちなつさんの声質や低音の良さは分かっていたつもりだったのですが高音もこんなにすごいの?!好きすぎるんですけど????!安定感半端無い。そして、やっぱり表現力。歌に物語がある。夫人の感情がバチバチ流れ込んでくる。ラスト、バンッ!てキマるのもめちゃくちゃ気持ちいい。目力パない。好きすぎて語彙が死んで来た。一幕終わり、銀橋での夫へ寄り添うような切ないハーモニーもたまらなく好きです。エモ。一緒にいる人を引き立てる力がある。ちなつさんの娘役力よ。夫人のナンバーはダンスもかっこいいですよね!AyaBambiみたいな振り付け!夫人の個人的イメソン椎名林檎なのでめちゃくちゃ興奮しました。芝居でも触れましたが手の動きが本当にドキドキする。ネイルがキラキラ光ることで動きが強調されて余計に目が行くのでホント賢い人だなぁ。

④パレード
 待って、その顔でニコニコするの?!!見た目コンデュルメル夫人なのにちなつさんでニコニコしてるから脳みそバグる。猫のマスクでお顔を隠して現れてってしてるとき、本当に聖母微笑って感じで死んでしまった。下手の観客惨殺じゃん。好き以外の感情がなくなった。世界で一番かわいい。どうもありがとうございました。ちなつさんがいつも以上に万雷の拍手に包まれているのすごく嬉しいです。感動すると人は自然に拍手してしまうものだって理解した。はぁっ!ちなつさん大好き!!!!!

 

 ホントはもっと感想早く上げたかったのですが観劇してるとマジで時間がない。鉄熱いうちに打てない。観れば観るほどコンデュルメル夫妻がめちゃくちゃ好きになっていて苦しいので次回は二人の人物像、関係性について考えてみたいと思います。

 では、また次回。