陳情令にハマったヅカオタが中国ミュージカルサバイバル番組「爱乐之都」第1話を観ました

 
皆さま、お元気でしょうか?
しれっと二年ぶりの更新です。わたしはといいますと相変わらず元気に贔屓を追いかけております。
ただ、2022年元旦から始まった月組公演もいよいよ終盤という時期に、宝塚大劇場で信頼できるヅカオタから「絶対観て!」と渡された『陳情令』という男と男の最高の執着が見られる中国ブロマンスドラマにドハマリしておりまして……!(すべてのオタクの「答え」がここにあるので宝塚でも早く上演して欲しい)
 
ちなみに推しはこちらの汪卓成さん
えっ、この見た目、この演技力を持って歌まで歌えるの?!大陸、層が厚すぎん?と思ったら演劇の名門大学でミュージカルを学ばれているそうでヅカオタ大興奮。
 
しかも、今、放送中の中国のミュージカル役者のサバイバル番組に出るよ!という情報を得ました。Twitterはなんでも教えてくれる。LOVE。
(↓YouTubeの公式チャンネルから全編無料で見られます)
というか、アイドルのサバ番はよく聞くけど、ミュージカル役者でもあるんですね?!
オタク興味津々!早速初回を観ました。
 
 
1.中国ミュージカル事情
 そもそも中国のミュージカルってご覧になったことありますか?
 わたしは全然なくて!京劇とか中国舞踊のイメージはあったものの何にも予備知識ない。
 でも、こんな番組が放映されるくらいだからさぞや盛り上がっているんだろうなぁと検索してみたら、初めて欧米のミュージカルが上演されたのは2002年の『レ・ミゼラブル』だそう。意外にもここ20年のことなんですね。
 そんな中国のミュージカル文化の中心地は上海。海外の舞台芸術は上海大劇院という劇場で上演されるのが主でしたが、2011年にはミュージカル専用劇場「上海文化広場」がオープン。
 テレビでも2018年にミュージカル舞台公演型のリアリティーショー番組「声入人心」が放送され、人気を博したとのことでかなり盛り上がりを見せているようです。
 また、歴史的に演劇教育を大切にしてきた中国には国立の演劇大学があります。その中でも最高学府と名高いのが上海の上海戯劇学院、北京の中央戯劇学院(汪卓成さんは後者に通われているそうです)。ミュージカルを学べる学科の受験者が急増しているとのことでめちゃくちゃホットなジャンルなのが伝わってきます。てか、普通に舞台芸術が専門的に学べる国立大学あるの羨ましい。
 
 
2.爱乐之都とは?
 さて、爱乐之都の話題に戻ります。こちらの番組、32名のミュージカル役者が出演。サバイバル番組ということで一応勝敗があり、1回戦は参加者全員がペア(もしくはトリオ)となって、様々な楽曲を披露します。
 そこに審査員4名が投票し、全員からA評価をもらえた参加者は2回戦で優遇される方式のよう。ちなみに2回戦以降は課題曲対決、助っ人とのコラボステージなどが予定されているらしい。

(以下、英語字幕で視聴した感想ですがわたしの語学力的に分かってないこともあると思うので、間違いなどありましたらご教示いただきたいです)
 
▶1話の組み合わせ
①ミュージカル『オペラ座の怪人』より「The Phantom of the Opera
郑棋元&郭耀嵘
 
 
②映画『グレイテスト・ショーマン』より「Rewrite the Stars」
赵超凡&李紫婷
 
 
③ロックミュージカル『赤と黒』(原作: フレンチミュージカル『Le Rouge et le Noir』)より「荣耀向我臣服」
叶麒圣&方书剑
 
 
④中国オリジナルミュージカル『在远方』より「兄弟+何处是远方」
刘思维&夏振凯
 
 
⑤ミュージカル『阿波罗尼亚』(原作:韓国ミュージカル『Mia Famiglia』)より「我的家族」
蔡淇&张玮伦&曹牧之
 
 
全員歌が上手い!!!!!!!!!!!!!!!
セットが豪華!!!!!!お金がある!!!!!!(馬鹿の感想)
 
 ミュージカル界の新人発掘みたいな感じなのかな?と思ってたら、のっけからレベル高すぎてオタク泡拭いた。なに?劇団四季のキャストオーディション?
 とにかく出演者全員、実力もキャリアもある。中国ミュージカル界の最前線を走っている方ばかりのようです。正直、これだけのメンバー揃えて、異なるお役で甲乙つけるのはあまり意味がないんじゃないかな。2回戦の課題曲対決から本格的なサバ番ぽくなるんだろうか?
 演目が始まる前に簡単なあらすじ説明があるのは有難いですね!超有名曲から大陸オリジナルまでバランスの良い取り合わせで飽きずに楽しめました。
 
 わたしが特に印象的だったのは3組目、ロックミュージカル赤と黒(Le Rouge et le Noir)。
 とにかく曲がいいー!こういうの大好きー!ロックミュージカルってロクモみたいなやつ?と思ったら、マジでロクモとか1789と同じプロデューサーのフレンチミュージカルとのこと。そりゃ音楽が良いはずだわ。
 
 基本的なあらすじは普通に『赤と黒』なのかな?(ヅカオタ的には柴田先生ですね)地方の貧しい製材屋の息子に生まれながら高い能力を持ち、野心に燃えるジュリアンがパリに出て、階級社会の中で成り上がろうとする姿を描いた作品。
 階級闘争を通して人間を描写するというスタンダールの代表作をもとにしていますが、特徴的なのは、主人公ジュリアン・ソレルの野心の側面が擬人化されていることかと思います。叶麒圣さんが主人公ジュリアンを、方书剑さんが野心に燃える内なるジュリアンを演じていました(後者を勝手に黒ジュリアンって呼びます)二人の役者が同じ人物を演じる。オタクそういうの大好き。
 
 まず、なんといっても叶麒圣さん!中国のプリンスロード?!と見紛う出待ち風景から紹介始まるのおもろい。中国の超人気ミュージカル俳優とのこと。ジュリアンという稀有なる美貌と頭脳ってお役に説得力をもたらしますね。(叶麒圣さんが自分のことイケメンと思ってないっていってたの流石に嘘でしょ)他の出演者さんからファンだって言われているのもかわいかったです。
 もうとにかく視線のお芝居がめちゃくちゃ良い。貧しい生まれの自分を理不尽に蔑む社会を憎む目たまんない。中国語全然分からないのですが、ジュリアンの置かれた背景や感情が歌唱から台詞を話しているかのようにはっきりと伝わって来て、その破壊力が舞台いっぱいに広がっていく。めちゃくちゃ好きでした。
 
 今回の歌唱発表は、町長の子どもたちの家庭教師として雇われていたジュリアンが招待されて屋敷に訪れたにも関わらず、門前払いをくらうところから始まります。扉が開かない=生まれによって社会から締め出されるって描写がこの短い場面でも導入として入ってるの上手い。
 そんな屈辱に震えるジュリアンの前に現れるのが黒ジュリアン。これから立場を逆転してやろうと諭す方书剑さん、めちゃオペラっぽい歌い方するな~と思ってたら幼い頃から声楽を学ばれてたんですね。上原理生くんに似ている。歌も演技も十分上手かったのですが、二人の主導権を握ってリードするお役だと思うので、配役逆の方がやりやすかったかな。叶麒圣さんをリードするって超難しそう。まぁ、そういうお役すら乗りこなすのが役者の実力でもあります。

 世界を跪かせろとばかりに歌い上げる二人のバチバチ感というか、高みに昇っていく雰囲気がわたしは超超好きでした。やってて自然とボルテージが上がっていく曲だろうから、抑えを効かせながら徐々に盛り上げていくコントロール技術が肝要だっていうのも分かる。音楽そのものに強いパワーがある。
 
 あと、審査員の方も仰っていたように海外ミュージカルは外国語を訳す段階でかなり歌いにくくなりますよね。音のハマり方が原曲と異なるので素直に難しい。にも関わらず、二人とも物凄く感情豊かに登場人物の人生を歌い上げていてすごかった。この演目を通しで見てみたいと思わされるペアでした。その後の4組目が演じたのが中国オリジナル演目だったから対比も面白かったな~!
 
 4組目は今回発表があった中ではお芝居の成分が一番多かったように思いました。また、歌唱発表後のインタビューが盛り上がりを見せていましたね。発表に関するコメントに加えて、ミュージカルに入ったきっかけや今までのキャリアなども話してくれるのですが、刘思维さんが自分のことを「non-staff musical actor」と呼んでいる理由と舞台にかける思いがめちゃくちゃ熱かった。
 
 それにしても、中国ミュージカル界ってすごく学歴社会だなぁ。出てくる人達、ことごとく専門教育を受けてる。世界的に見たら普通なのかな?
 例えば、3組目の方书剑さんは2016年に上海音楽学院の音楽・演劇学科に入学。その時点ではまだミュージカルが人口に膾炙していなかったというような話しぶりで、同級生たちもミュージカル業界に片手も残っていないと言っていた。厳しい。
 ちなみに5組目のトリオは蔡淇さんが上海音楽院ミュージカル学科4回生、张玮伦さんが上海戯劇学院ミュージカル学科2021年卒、曹牧之さんは中国伝媒大学(中国の放送・メディア分野における最高レベルの大学だそうです)卒。みんなエリートだ……。
 
 そんな5組目はメンバーのバランスがとても良かったように感じました。それぞれ異なる個性を持っている中でのわちゃわちゃ感というか、背伸びしない良さ。トークコーナーでも天丼しまくりでウケる。しかし、张玮伦さんかわいいね~!!!常に面白くて優勝。ゲラゲラ笑ってしまいました。こういう方って絶対色んなお役ができますよね。
 あと、3組目の審査員講評のときに「美形の役者がそうでない役を演じるのも、容姿に秀でていない役者が美形の役を演じるのもどちらも壁がある。でも、その不可能を可能にするのが演劇なんだ」ってコメントに合わせて、「だから、俺もロミオやりたいんだよね。夢!」って言ってたの馬鹿ほどウケちゃった。めっちゃ観たいよ。
 個人的にはめちゃくちゃスターな役者がそのスター性を消して平凡な人物を演じたり、普通っぽく見える人が舞台の上で豹変するところを見るのが大好きなので、このコメントもすごく納得できました。役の当て方ってほんと奥深いな~!
 
 そんなこんなで第1話終わり!控室でひたすらにこにこ発表に反応する汪卓成さんかわええ。すぐ立ち上がるやん。あのテロテロドレスシャツのお衣装だと演目はフランス物かしら。2話以降も楽しみです!
 
 
【参考記事】