月組公演『出島小宇宙戦争』を観ました②

 

俺のデジマは終わってねぇ!!!!!!!

 ということで色々ありましたが、『出島小宇宙戦争』感想第二弾です。今日は主演としてのちなつさんへの感想とカゲヤスというキャラクターに感じたことを徒然なるままに語っています。ポエポエの実食べたから終盤ほぼポエムだよ。3秒に1回大好きって感じ。
 ちなみに感想文はあと2回くらいは続くはずなので良ければお付き合いください……。次回は他の登場人物についての感想をお届けする予定です。

 

①とにかく顔が良い
 お顔見て(はわわ……顔が良い……!)ってオタク仕草してるうちに終わっちゃった。いや、だって、かっこよすぎるじゃないですか?お顔が天才!宇宙一初恋!爆池度が世界記録を毎秒更新!!!横顔のラインとかパーツパーツのうつくしさにうっとりした。ビジュアルすごつよ。
 個人的にツボなのはアシメ前髪の右目にかかるくらい長い毛先がつけまの上に乗ってるとこ。瞬きする度に前髪ぴょこぴょこ動くの。めちゃくちゃかわいかった。免疫力最強になる。あそこだけアップの動画くれんか?一生再生したい。国家で保護する法律作って。
 お衣装もこだわりのライティングに映える生地でよかったな~綺麗だった~!殿堂でじっくり見せてくれ~~~~~!!!!

 

②0番としての安定感
 すっっっっごい主人公……!(小並感)ポー出の永遠の新規なものでちなつさんの主演公演を実際に観劇するのは初めてだったのですが、こんなにも真ん中として自然なんですね。押し出しの強さはもちろん、奇抜なことをしなくてもしっかりと存在感がある。そこにいるだけで0番としての重みが感じられた。それがまず感動でした。
 デジマの登場人物ってみんなキャラ濃い目じゃないですか?その中でカゲヤスは比較的普通というか(あの中で普通でいられる異常性というのはあるかもしれません)インパクトとして押し負ける可能性もある役だと思うんです。
 けれど、逆にそんな個性豊かなキャラクターたちを確かに纏め上げる力があった。カゲヤスがいるから破綻しない。安定感。彼を中心に物語が進んで、そこに違和感がない。しゅ、主演……ってなっちゃった。
 あと、出演者全員がお互いを引き立て合うというか、カンパニー全体が切磋琢磨しつつのびのびやってる印象を受けた。みんなたのしそうでよかったな~。そういうハッピーな空気に溢れてんのめっちゃうれしい。舞台に贔屓がいるとそこだけ解像度が一気に上がっちゃって、他が目に入らない圧倒的バグを抱えた人間ですらそう思うのすごくない?舞台って楽しい!ボールは友達

 

③艶やかな歌声とデュエットの親和性
 カサノヴァを経て磨きがかかった歌唱力がこれでもかというほど活きていてずっと気持ち良かった。劇場全体に響き渡る艶やかな歌声の心地よさといったら!言葉にならない!あとやっぱり声が好き……。
 うみちゃんとの声質の相性もこんなに良かったんですね。個人的にIAFAはナンバーの音域もあってお互い上手いな~くらいの印象だったけれど、今回はその親和性の高さをかなり強く感じた。はっとする良さだったな。良い物を聴かせてもらった。

 

④恋する視線
 ほんっっっっとちなつさんの視線のお芝居がだいすき。どうしてこんな表情ができるんだろう。タキに出会った瞬間、眼差しだけで恋に落ちたのが分かるんですよ。悶えた。たまらん。好きも切ないも寂しいも言葉にしないのに、その目が全てを物語ってしまう。すべての所作に男役としてのかっこよさが詰まっている。視線で表情で背中で指先でここまで感情を語れるのだと改めて感動しました。立ってるだけでめちゃくちゃかっこいいって何なんだ……意味が分からん……大好き……。よっ!最高のクールビューティー!(るうさんのご紹介シリーズ大好き)

 

⑤イノセントとワイルドのギャップ
 さて、ここからはカゲヤスというお役に触れます。カゲヤスさんって言葉遣いはワイルドなんだけど、本質的にはピュアなんですよね。ピュアだからこそ素直に師匠に憧れて、その無骨さを引き継ごうとする。身体は成熟した大人なのに精神は穢れを知らない感じ。そのアンバランスさはだいもんのエリックを思わせるけれど、あの痛々しいまでの未成熟さはない。達観して行き着く先のような純真の目立つ不思議な人間性にすごく惹かれました。
 あのギャップはどこから来るんだろう?と思ったときに現れるのが蘭くんのフレッシュなカゲヤスくん。幼気な少年が幽閉されて、その延長線上にちなつさんのカゲヤスさんが存在する。その流れがとても自然に受け入れられた。過去との繋がりが説得力を持って見える。周りのキャラクターとの調和に感じる優れたバランス感覚。すごい。

 

⑥包容力に隠れた孤独感
 そもそも、彼の人生は外の世界にいた時間よりも閉じ込められていた時間の方がずっと長くて、それこそ孤独や憎しみといった感情が大きく育ってもおかしくなかった環境だったと思う。タダタカ先生のいうように父は立派な天文学者だったのかもしれないけれど、その思想を幼い子に強いるのは普通に虐待ですし、生まれは避けようがなく、星が好きだったのかすら分からない子どもに与える親の教育は呪い。
 それでも誰も恨んでいない。唯一の理解者だった師匠を自らの手で殺めてしまった事実すら一人で感情を飲み込んでいる。長い幽閉生活の中でやっと出会った救いのような存在だっただろうに。あまりに自然に存在しているから思いを馳せないでいられるけれど、ふと冷静になると胸が痛んだ。
 宇宙人であるカグヤが美徳と捉えていたカゲヤスの純真さ。一介の人間であるわたしにはエゴイスティックから程遠い姿がある意味とても不器用な人に見えた。どこまでいっても孤独。なのにどこまでもやさしいのが切なくなる。寂しいといえないのが一番寂しい。
 ただ、孤独の澄んだ光はどうしようもなく人を惹き付ける。何度も触れますが「夢」の場面で師匠が亡くなった後、青い光に照らされるカゲヤスさんがとてもとても綺麗だった。重い漆黒をたたえる宇宙の中であんな風に青く光り輝く唯一の惑星を見つけたら恋をしてしまう。地球から見上げた月がうつくしいように月から見た地球もきっととてもとてもうつくしい。そう感じてしまうロマンチックな場面だった。
 孤独な男って本当に魅力的ですよね……。月の裏側が見えないことにロマンを感じる気持ちは心の奥底まで見えないカゲヤスさんに惹かれる気持ちに似ている気もした。一生分からないままでいてくれ~~~~~そこが好きだ~~~~~~~~うおおお~~~~~~~(?)

 

⑦鏡合わせの罪の行方(或いは断罪と赦し)
 そうそう。一幕終わり、リンゾウに撃たれた後「ふっ、……」と微笑むの本当に好きでした。あれを見て初めて、カゲヤスはずっとリンゾウにこそ裁かれたかったのかもしれないと思った。赦されたいのではなく裁かれたいの。師匠への想いを唯一分かち合える片割れに(精神的な)父殺しの罰を与えられたかった。あの笑みに潜むのは罰を受けた安堵なのか。純真無垢な人間にとって罰のない罪は何よりも苦しい。誰も憎まない人がただ一人許せないのが自分だなんて……オタクそういうの大好きです。リンゾウが鏡合わせの罪を背負ったことがカゲヤスを孤独から解き放つのエモエモのエモだったな。くぅっ、タカヤありがとう。

 

 長々と触れてきましたが、純粋ってある意味で狂気なんですよね。知りたいという知的好奇心だけで蛇の道を進んでいける。人間って普通に弱くて欲望だってあって、だからこそ傷付いても何とか生きていけたりするものじゃないですか。でも、カゲヤスさんはそういうずるさのない真っ直ぐさが人間としてのしなやかな強さに見えた。この人を信じたいという気持ちにさせられた。滲み出してくる性質に嘘がない。舞台上の人物という絶対的虚構なのにそんな風に思わされる。それが一番好きなところでした。

 

 


 『出島小宇宙戦争』という作品を、カゲヤスさんというお役を見られて本当に良かった。ちなつさんの舞台姿ってずっと新鮮なの。今までこんなちなつさんは見たことがなかったけれど、こういうちなつさんが見たかった。瑞々しい歓びに満ち満ちた時間。また観たい、舞台って面白い。毎回そう思わせてくれる。
 ちなつさんは舞台のどこにいてもわたしの0番ですが、本当に舞台の真ん中にいるのってびっくりするくらいどこまでもしあわせでした。発表されてから最後の日まで本当にずっとずっとしあわせだった。こんなにしあわせなことあるんだな~ありがとう~~~~。
 まだまだ不安な日々が続きそうですが、感謝の気持ちを胸に自分にできることをしっかりこなしながら過ごしたいと思います。とりあえず感想文が全然終わらない焦りがヤバい。では、また!